学童保育について考える

学童保育についての記事やコラムなどをまとめました。


【コラム1】 小学生になったら~放課後をどう過ごす?

~小学生のアフタースクール

2010年に、川崎高津区の市民団体「子育て支えあいネットワーク『満』」様から取材を受けました。その際に掲載された記事を転載します。

 『満』様では、民間企業運営のキッズベースキャンプ様の取材も同時に行われており、記事では双方の保育方針や重視する内容の違いが現れています。

 (文責・引用元は「子育て支えあいネットワーク『満』」様となります。転載許可を頂いています。)

※なお、情報は2010年時点のものとなります。

小学生になったら~放課後をどう過ごす?~小学生のアフタースクール

  保育園から小学校へ上がる際、共働きの親が抱えると言われる「小1の壁」。放課後や夏休みなどの長期休暇中に子どもをどこで過ごさせるのか―。働く親にとっての大きな気がかり。そこで今回は高津区内・近郊のアフタースクールと学童クラブを取材しました。

  

学童保育機能を備えた送迎付きのアフタースクール
「キッズベースキャンプ溝の口」

 

利用対象は小学1年生から6年生。放課後の週1~5日のレギュラー利用に加え、必要なときだけのスポット利用もできます。急な残業が入った時など、電話1本で最長午後10時までの延長も可能(630円/30分)。昼食・夕食の提供あり(予約制・1食630円)。

 

玄関はオートロック、施設内には防犯カメラ設置。入退出管理システムにより、親は子どもの入退出時間をメールで瞬時に知ることができます。また、送迎対象の小学校(高津・久本・東高津・西梶ヶ谷・上作延)→キッズベースキャンプ→溝の口・高津・二子新地・梶ヶ谷駅への送迎を、レギュラー会員なら無料で利用できます。

 

人柄重視で厳選されたキッズコーチは、子どもたちを楽しませ一人ひとりに目を配ります。キッズコーチに群がって遊ぶ子どもたちの姿も見られ、友だちのような存在でもあります。

 

ネイティブ講師によるEnglish、アート工作、マナー講座、科学実験、公園での水鉄砲やドッジボールなど多彩なプログラムを用意し、子どもたちを飽きさせないだけでなく、挨拶など生活の場としてしつけの実施、医療サポートなど、忙しい親にとってうれしいサービスがいっぱいです。

 

 <1日のスケジュール>

学校終了後、KBCへ到着

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 宿題タイム 学習習慣が身につくようにサポートします

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 16:00~ おやつタイム クイズに正解したチームからおやつGet!

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 16:30~ イベントプログラムや外遊びの時間

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 17:30~18:00 帰りの会

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 時間になったら保護者お迎え、又は送迎車や徒歩で駅・自宅へ送迎

 

<DATA>

キッズベースキャンプ溝の口

 http://www.kidsbasecamp.com

 高津区二子5-10-1フルリール二子102  Tel:044-850-2515

 料金:入会金21,000円/週5日(~19:00)のレギュラー利用で月額42,000円

 


親が話し合い、指導員と共に運営にかかわる
「学童保育 わいわいクラブ」

 

わいわいクラブでは、働く親を持つ子どもたちが自分で考え、判断し、生活者として自立していくための力を身につけていくことを大切に考えています。利用対象は小学1年生から6年生。子どもたちは上級生をリーダーとする縦割りの班に分かれていて、生活も遊びも異年齢の班活動が基本。指導員たちは、子どもたちが互いにかかわりあい自分たちの問題を話し合って解決できるように見守ります。掃除やおやつの準備は当番制。ほうきやぞうきんを使って掃除をしたり、洗い物をしたり包丁を使ったりと身の回りの仕事を日常の中でマスター。

 

親は「忙しいからといって人に任せて終わりの子育てはしない」との立場で、夏の親子キャンプやバザーなどいろいろな行事にかかわります。キャンプや毎月の父母会で親同士も顔がつながり、急な残業の時などには連絡を取り合って子どもを預け合う関係も生まれています。

 

運営委員会は父母に加え、卒室児童の父母や町内会役員・民生委員等で構成。普段遊んでいる公園の町内会主催の掃除活動に参加したり、指導員が子どもたちの学校に出向いたりと、子どもたちが成長していく上で不可欠な地域とのつながりも大切にしています。

 

<1日のスケジュール>

学校終了後、わいわいへ到着

宿題タイム

自由遊び 戸外へ/お絵かき・ゲーム類・折り紙・本読み等

15:00~ 公園へ

16:00 おやつ班準備

16:30 おやつ 絵本の時間/話し合い(掃除班)

17:00 掃除班の子は掃除 それ以外の子は外遊びなど

室内遊び ゲーム・ケン玉・ベーゴマ・足かけなど

18:30 閉室

 

<DATA>(注:2010年のデータです)

学童保育 わいわいクラブ

中原区上新城1丁目 2‐28‐302  Tel:044-751-7947

料金 入室金30,000円/月額25,000円(~18:00)


【コラム2】 学童保育を比べてみる

2012年度の入室説明会で、父母会長が話した挨拶を一部改変したものです。
小学校に上がってからの学童保育選びの参考になればと思います。

皆様の中には、この「わいわいクラブ」、市の委託運営である「わくわくプラザ」、他の民間運営学童保育との間で悩んでいる方もいらっしゃると思います。これから、各保育のメリット・デメリット、特に保育の質を維持するためのコストと責任についての比較をお話したいと思います。もちろん、我々「わいわいクラブ」の父母会から見ての話ですので、最終的に当ホールのアピールになります。ご了承下さい。
  

まず、ご存知の通り、「わくわくプラザ」はおやつと6時以降の保育以外は無償で、預ける側から見ると極めて低コストです。無償の理由は、運営費が市から出ているためですが、市の方針で、スタッフリーダー1名の他はアルバイトによる保育。児童は登録制で1日の定員はありませんので、スタッフも児童も毎日決まった組み合わせではないことになります。児童一人ひとりに目を届かせ、その児童に合った指導を行ったり、集団で何かを成し遂げるという指導は難しいのではないでしょうか。制度上、保育というよりは、遊び場所の提供とその監視員という形になってしまっているように思います。

 
次に、企業経営の学童保育です。保育の中に習い事や学習指導を組み込むなど、保育以外の教育的付加価値を目玉にすることが多いようです。保育の内容はお任せで、ついでに勉強や習い事も教えてくれて一石二鳥です。
企業経営の学童保育では、保育の内容と質に対する責任は運営企業が負っています。保護者からは、どういう保育をしているのかわからず、保育方針に対する判断もコントロールも困難です。また、企業経営のために純粋な保育のコスト以外にも運営経費と利益を必要としていますので、保育料は高くなります。
 

最後に「わいわいクラブ」です。在室児の父母が経営と保育方針に直接関与し、プロの指導員を雇用している、父母会運営です。自分たちの望む保育を実現できる代わりに、責任も自分たちで負います。人任せにはできません。川崎市の場合、自治体からの補助金は一切ありませんが、父母によるボランティア運営のため経費は最低限で利益は必要ありません。そのため、コストは企業経営の学童ほど高くはなりません。しかし、父母の積極的な参加がなければ成り立ちません。
 

現状の「わいわいクラブ」では、30年来の運営経験と、信頼できる指導員の先生方のおかげで、高い保育の質を維持していると考えています。学業は学校に任せ、わいわいクラブでは生活力を付けることを第一に考えています(掃除・洗濯・片付けなどはもちろん、「自主的に宿題をする」「上下関係の中で自分の役割を見つける」「集団の中でのリーダーシップをとる」「子供たちだけで決めて実行できる」のも生活力だと考えます)。この生活力を、普段の放課後の生活と遊びの中で身に着けていく、これこそ「わくわくプラザ」や企業経営の学童ではできない、我々だからこそできる教育です。

 おそらく子供たちは、中学生・高校生になれば、「わいわいクラブ」にいた日々は夢の様な時間だったと回想するに違いありません。そして、我々父母会は、そんな時間を守っていくために、あらゆる努力をするための組織です。それを構成するために、一人ひとりの保護者の参加意識が必要です。
こういった方針にご理解いただける方には、ぜひご参加いただきたいと思います。


【コラム3】 学童保育は安心できる場所

毎年行われる「全国学童保育研究集会」に指導員の先生方が参加しています。

平成29年は兵庫県で行われました。

さまざまな分科会(講演)が行われており、以下は指導員の先生が参加された分科会について父母会用にまとめて下さったものの一部です。

 近年、小学校の授業数が多くなり、子どもたちが忙しくなる中、学童保育の存在意義についてお話されています。

 

タイトル 子どもの気持ちに気付く ~家庭で、学童保育で~

講 師  兵庫・小学校教諭

 

(以下は一部です)

子どもは緊張とリラックスを繰り返して成長する。学校は緊張の場、家庭・学童はほっとできる場であってほしいが、今、家庭でほっとできない子も多い。学校、学童、家庭全部の場所でいい子でいなければいけなかったら、子どもは壊れてしまう。

 

大人は自分で飲み会などで息抜きできる。子どもにとっては遊びが大切。安心してたくさん遊ばせられる学童の存在価値は、今、本当に貴重。放課後なんとなくブランコに乗って遊んだり、ゲームで通信したりして子ども達は遊んだと思っているが、関わりがあって、手加減しながら遊ぶような遊び方ができるのは学童くらいしかない。

 

学校は昔は学活の時間で集団遊びなどをしたが、今は余裕がない。集団遊びを知らない若い教員が多い。

子どもが公園に行って、ドッジボールをしようとしても人数がなかなか揃わない。学童ならできる。遊びはビタミン。ビタミンがなくては育たない。集団が成立していることが大事。特に縦割りの集団ができていることが重要である。ガキ大将の経験をしていること(学童の中で最高学年になること)、おやつを分配したり、遊びの中で指令を出したりする。ガキ大将の経験は人生の中で大きく働く。もっと大きくなって思春期になった時のこの経験がものをいう。この経験がある子とない子では全然違う。

 

ケンカの仕方と力加減を覚えることが大事。学童でもいじめのようなことはあるが、指導員がいるから酷くならない。学校は意外とわからない。LINEを使うようになると全く分からない。一晩でクラスの雰囲気が変わることを何度も経験した。小さいうちにケンカの経験がなく、力加減を知らないとお互い鼻血を吹くまでケンカする。

 

(省略)

 

 (指導員に向けて)元々学童はなかった。今はあって当たり前。学童は大きな流れの中で前を向いて進んでいっている。指導員の待遇面も向上していくはずで、意義のある仕事なので誇りをもって頑張ってほしいと思います。